
「ETCコーポレートカードのクーポンを探しているんだけど…」「どうすれば通行料金が安くなるの?」そんな疑問をお持ちの法人・個人事業主様へ。この記事では、「ETCコーポレートカード クーポン」と検索された方が本当に知りたいであろう、ETCコーポレートカードの割引制度について、専門的な内容も交えつつ分かりやすく解説します。事実に基づき、最新情報(2025年4月現在)を反映するように努めていますが、制度は変更される可能性があるため、最終的な確認は公式サイト等で行ってください。
まず結論からお伝えすると、一般的な商品やサービスで見かけるような、特定のコードを入力したり提示したりして割引を受ける「クーポン」は、ETCコーポレートカードには存在しません。
では、なぜ「クーポン」で検索されるのでしょうか? おそらく、ETCコーポレートカードを利用することで得られる通行料金の大幅な割引を、「クーポン」のようなお得な制度として捉えている方が多いからだと考えられます。その割引制度こそが、ETCコーポレートカード最大の特徴である「大口・多頻度割引」なのです。
この記事では、その「大口・多頻度割引」を、ETCコーポレートカードの実質的な”クーポン”として詳しく解説していきます。
割引制度の話に入る前に、ETCコーポレートカードの基本情報を確認しておきましょう。
ETCコーポレートカードは、NEXCO東日本・中日本・西日本の高速道路株式会社3社が共同で発行する、法人向けのETC専用カードです。個人向けのETCカードや、クレジットカード会社が発行する法人向けETCカード(通称:ETC法人カード)とは異なるものです。
このカードは、高速道路を「大口(利用額が多い)」「多頻度(利用回数が多い)」で利用する企業を主な対象としており、その利用実績に応じて大きな割引が受けられるように設計されています。
ここからが本題です。ETCコーポレートカードの核心的なメリットである「大口・多頻度割引」について詳しく見ていきましょう。
大口・多頻度割引は、主に「車両単位割引」と、ETC2.0利用を前提とした割引(旧・契約単位割引に相当)の2段階で構成されています。基本的な考え方は「1台ごとの利用額が多ければ多いほど、割引率が高くなる」というものです。
ETCコーポレートカードを挿入して走行した車両1台ごとの、1ヶ月(1日~末日)の高速道路利用額(NEXCO管理道路など割引対象道路のみ)に応じて、段階的に割引率が適用されます。利用額が多いほど割引率が高くなる、累進割引のような仕組みです。
専門用語解説:累進割引とは、利用量や購入量が増えるにつれて、適用される割引率が高くなっていく方式のこと。電気料金や所得税などでも見られます。
以前は、契約者(企業全体)の月間利用総額に応じてさらに割引が適用される「契約単位割引」がありましたが、現在は制度が変更され、ETC2.0搭載車での利用を条件とした割引(契約単位割引に相当する割引や、それを拡充したもの)が中心となっています。つまり、ETC2.0を利用することで、車両単位割引に加えて更なる割引が期待できる、ということです。詳細な条件や割引率はNEXCO各社の最新情報をご確認ください。
車両単位割引の割引率は、利用額の区分に応じて設定されています。以下は一例ですが、必ず最新の情報をNEXCO公式サイトでご確認ください。(割引率は変更される可能性があります。)
【計算例】ある車両が1ヶ月に40,000円利用した場合(上記割引率が適用されると仮定)
・5,000円部分:割引 0円
・次の5,000円部分(10,000円まで):5,000円 × 10% = 500円割引
・次の20,000円部分(30,000円まで):20,000円 × 20% = 4,000円割引
・残りの10,000円部分(30,000円超):10,000円 × 30% = 3,000円割引
合計割引額:7,500円 (40,000円利用で実質32,500円の支払い)
このように、利用額が増えるほど割引額も加速度的に大きくなります。さらにETC2.0割引が適用されれば、よりお得になります。
大口・多頻度割引は、主にNEXCO東日本・中日本・西日本が管理する高速国道が対象となります。
一方で、首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路、および地方道路公社が管理する有料道路は、原則として大口・多頻度割引の対象外です。(ただし、一部例外的に割引が適用される道路もあります。)
どの道路を主に利用するかによって、ETCコーポレートカードのメリットの大きさが変わってきます。
深夜割引(0時~4時、30%割引)や休日割引(土日祝、地方部30%割引)といった、時間帯等に応じた他のETC割引も適用されます。重要なのは、これらの割引が適用された後の料金に対して、さらに大口・多頻度割引が適用されるという点です。つまり、割引が二重に適用される(※)ため、非常にお得になります。
(※割引率の計算方法は、割引後の料金に対して大口・多頻度割引率を乗じる形になります。単純な割引率の足し算ではありません。)
大きな割引が魅力のETCコーポレートカードですが、導入にあたってはメリットとデメリットを理解しておく必要があります。
カード発行にあたり、後払いとなる通行料金の支払いを担保するために、保証金(目安:月間利用額の4ヶ月分)を預託するか、NEXCOが指定する保証機関による保証(機関保証)を受ける必要があります。これが初期費用や手続きのハードルとなります。
専門用語解説:保証金とは、万が一料金の支払いができなかった場合に備えて、あらかじめNEXCOに預けておくお金のこと。原則、解約時に返金されます。機関保証は、保証会社に保証料を支払うことで、保証金の代わりとする制度です。
申込には登記簿謄本などの書類提出が必要で、審査もあります。クレジットカード系のETC法人カードに比べると、手続きが煩雑で時間もかかります。
ETCコーポレートカードは、登録した特定の車両でしか利用できません。他の車で使い回すことは不正利用となり、罰則の対象となります。車両ごとにカードを発行・管理する必要があります。
前述の通り、首都高や阪神高速などを主に利用する場合は、大口・多頻度割引のメリットを享受できません。
法人向けのETCカードには、クレジットカード会社が発行する「ETC法人カード」もあります。どちらを選ぶべきか比較してみましょう。
項目 | ETCコーポレートカード | ETC法人カード(クレカ系) |
---|---|---|
主な発行元 | NEXCO東/中/西日本 | クレジットカード会社 |
主な割引制度 | 大口・多頻度割引 (車両単位割引 + ETC2.0割引) |
時間帯割引(深夜・休日等) ETCマイレージサービス(ポイント還元) ※カード会社独自の特典が付く場合も |
発行のハードル | 高い(保証金/機関保証、審査) | 比較的低い(クレジット審査) |
カードの利用 | 登録車両のみ(使いまわし不可) | どの車両でも利用可能(レンタカー等もOK) |
割引対象道路 | 主にNEXCO管理道路 | 全国の高速道路・有料道路(時間帯割引等) ※マイレージ対象は道路事業者による |
おすすめの企業 | NEXCOの高速道路を特定の車両で月3万円以上など高頻度・高額利用する企業 | 設立間もない企業、複数車両で使いまわしたい企業、首都高・阪神高速利用が多い企業、利用額がそれほど多くない企業 |
これらの点を考慮して、自社の利用状況に最適なカードを選択することが重要です。
A. NEXCOの各支社や事業所、または取扱機関を通じて申し込みます。必要書類を準備し、審査を受ける必要があります。詳細はNEXCO各社の公式サイトをご確認ください。
A. はい、法人だけでなく個人事業主でも申し込むことが可能です。ただし、法人と同様の審査や保証金等の条件があります。
A. はい、ETC2.0車載器を利用していると、車両単位割引に加えてETC2.0利用を前提とした割引(契約単位割引に相当)が適用されるため、さらにお得になります。NEXCOはETC2.0の普及を推進しています。
ETCコーポレートカードには「クーポン」という形式の割引はありませんが、「大口・多頻度割引」という非常に強力な割引制度が用意されています。特に、NEXCO管理の高速道路を特定の車両で高頻度・高額利用する企業にとっては、通行料金の大幅なコスト削減につながる可能性があります。
ただし、発行には条件があり、利用にも制約があるため、メリット・デメリットをよく理解し、ETC法人カード(クレカ系)とも比較検討した上で、自社に最適なカードを選択することが重要です。まずは自社の高速道路利用状況を把握し、NEXCO公式サイトなどで最新の制度詳細を確認することから始めましょう。